歌詞

ナンバガの歌詞は映画だ。

(2019/11/24に更新)

ナンバーガールの復活の一報は衝撃でした。

折角なのでナンバーガールについての記事を何か書こうかということで今回の記事に取り組んでおります。

表題の通り、テーマは歌詞です。

向井秀徳が書く歌詞は独特で魅力的なのですが、どの辺りが特徴的なのかというのを改めて自分なりに考えてみました。長い文章になりますが、お付き合いいただけると幸いです。

メインストリームを闊歩する手紙型の歌詞

ナンバーガールの歌詞の特徴が何かと問われれば特徴まみれであるとしか答えようがないわけですが、今回はその中でもある点に注目したいと思います。

それは、人称です。

ナンバーガールの歌詞には二人称があまり出てきません。これが結構大きな効果をもたらしていると考えます。

世の中の多くの歌詞には「君」とか「あなた」などの二人称が含まれています。

ナンバーガールと同時期にデビューしたくるりや、ナンバーガールが敬愛するbloodthirsty butchersの歌詞にも「君」という言葉が含まれているものがあります。そもそも敢えて例を出すまでもないほど大量に存在するのですが。

君がいるかな 君とうまく話せるかな

くるり『東京』より

君に伝えたいけどどこにも君はいない

bloodthirsty butchers『7月/july』より

二人称というのは聞き手を示す言葉です。つまり、二人称を含む歌詞は歌詞の中に聞き手が存在するということになります。そして二人称は特定の誰かを指す言葉であり、自分にとって何らかの理由で特別な存在であり、「私」と「あなた」は何かしらの関係性があることが示唆されます(一方的か双方向的かは分かりませんが)。このことを考えると、自分から二人称が示す特定の人へ何かを伝えようとしているという構図が成り立つわけです。

これを仮に「手紙型」と名付けてみます。

ナンバーガールの映画型の歌詞

「手紙型」に対し、ナンバーガールの歌詞には二人称があまり現れず、三人称が頻出します。

例えば下記の歌詞などです。

赫い髪の少女は早足の男に手を引かれ

Number Girl『透明少女』より

風鋭くなって にっこり笑った芸者の少女

Number Girl『鉄風鋭くなって』より

そして「俺」という一人称も頻出します。

三人称と一人称のみ、つまり歌詞の中に聞き手が存在しません。聞き手は特定の人(「君」とか)ではなく、知らない誰かです。

手紙よりかは映画や小説の方が近い気がします。

そして、ナンバーガールの歌詞の構図は、冷凍都市のとある人物達とその近くにいる俺って感じのものが多いです。

そして、冷凍都市で起こる数々の事象に対し、「俺」は直接何か働きかけるわけではありません。

逆に冷凍都市の影響を受けて「俺」は何か行動したり、何かの状態になったりします。例えば下記の歌詞のような感じです。

軽やかに翔んでるガール あの娘は翔んだ

でも俺、この喧騒に呑み込まれてしまう

Number Girl『TRAMPOLINE GIRL』より

他にも、「気づいたら俺はなんとなく夏だった」り、「俺は一人会議をしていた」りします。

とある第三者の描写、それに対する自分の描写といった感じで、光景や行動、状態の描写を繰り返していきます。

君と会いたいとか、君に伝えたいとか、特定の誰かへの思いを綴った表現はあまりありません。

向井秀徳が映画監督を目指した過去を持つからなのかは分かりませんが、映画のワンシーンを切り取って文字に起こして並べたような印象を受けます。

これを仮に「映画型」と名付けてみます。

体言止めを多用することも相まって、激しい音楽性とうまくマッチし、走馬灯のように場面がパッパッと切り替わるような印象です。

ちなみにこの映画型の傾向は、ナンバーガールが1998年に上京して以降から顕著になっていきます(IGGY POP FAN CLUBなど、上京前の初期の楽曲は二人称を歌詞に含むものもあります)。

巨大な冷凍都市、そして何ができるでもなくその光景の中の一部でしかない自分。

その漠然とした不安感、焦燥感がナンバーガールの歌詞からは感じられます。

描写ではありませんが、下記の歌詞はその心情を象徴的に表すものとして私は捉えています。

おととしの事件を誰も憶えておらんように

オレもまたこの風景の中に消えてゆくのだろうか

Number Girl『ZEGEN VS UNDERCOVER』より

福岡から出てきた彼らにとって、東京という冷凍都市は呑み込まれて消えてしまいそうなほど大きな存在だったということなのかもしれません。

まとめ

まとめとしては、メインストリームを堂々と闊歩する「手紙型」の歌詞に対し、ナンバーガールの歌詞は「映画型」であり、その表現手法の違いが独特の世界観を生んでいるのではないかということです(もちろん例外もありますが)。

いずれにせよ、ナンバーガールがかっこいいということは間違いないです。

今宵もナンバーガールを聴きながらニコニコすることにしましょう。

それではまた。

ABOUT ME
山口百オ
Sister Leyというバンドのベースボーカル。 音楽、漫画、アニメ、ゲームばっか摂取しているインドア派です。

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